アヴェスターにはこう書いている?
本を読んでいて気になったことなどを徒然なるままにメモしておくブログ。書評というより「読書メモ」。
プロフィール

ツァラトゥストラ

Author:ツァラトゥストラ
「ツァラトゥストラはこう言っている?」の姉妹編。日々読んでいる本から気になった箇所をピックアップして自由にコメントするブログ。

FC2ブログランキング

FC2ブログランキング

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

FC2カウンター

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

佐藤優×石川知裕 『政治って何だ!? いまこそ、マックス・ウェーバー『職業としての政治』に学ぶ』(その1)

佐藤 いい喩えだと思います。ウェーバーの影響はおそらくドイツやイギリス、アメリカよりも日本のほうが圧倒的に強いです。ウェーバーの影響がこれだけ強い国は、世界でも日本以外にないと思います。
石川 そういえば中国は社会科学や数学の基礎体力が強くないと聞きましたが、彼らは欧米の社会科学書や数学書を日本語に訳されたものから再翻訳して、勉強しています。その関係もあって、中国や韓国でもウェーバーの影響が強いのですね。
佐藤 ではなぜ日本ではウェーバーの影響が強いのでしょうか。これは第一次世界大戦後の極端なインフレと関係します。第一次世界大戦後にドイツに留学した学者やエリートが、インフレに乗じて大量にドイツの文献を購入して、日本に持ち込んだのです。その後の日本の思想界はこのドイツの文献に強く影響をうけたというわけです。その一部にウェーバーの著作がありました。(p.19-20)


前段では、日本でウェーバーの影響が強いことが、中国や韓国での影響の強さにも反映しているという指摘が興味深かった。なお、中国(大陸)よりも台湾での方がウェーバーの影響は強いのではないかと思う。

また、第一次大戦後のドイツのインフレが、ドイツへの留学や文献の流入につながり、ドイツの思想が日本の思想界では影響力を持ったというのは本書では何度も語られるが興味深い。



佐藤 ところが現在は大学を卒業しても実質的に専門科目は修めていません。専門的な科目は企業に入って企業の研究所でやるとか、あるいは大学院でやるとか――いまは大学院のレベルが落ちてしまっているから、留学してからやるとか――そういう状況です。事実上、十数年間一般教養をやっているわけです。(p.114)


なるほど。



日本の近代化のなかで、東京帝国大学はイギリスのバーミンガム大学をコピーしました。ちなみに東京大学は世界で最初に工学部ができた大学です。東大に神学部はありません。神学部がないのみならず、哲学部もありません。文学部のなかの一学科に哲学を持ってきてしまいました。東大をモデルとする日本の大学は、過度に実学志向なのです。(p.144)


日本の大学が過度に実学志向というのは、なるほどと思ったところ。



石川 官僚が考えている非政治性というのは、まさに国家理性――国家の目的を国家そのものの維持や強化とし、そのために守らなければならない法則や行動基準――に関する非政治性ではありませんか。ということは、彼らの非党派性というのは極めて党派的だと思います。
 端的に言えば、安倍政権における中立性に偏っています。たぶんいま官吏に要請される中立性というのは、自民党の方針で状況が民主党政権時代からどのように変わったかを認識して、「第一条、自民党は正しい」「第二条、自民党が間違えている場合も第一条に準ずる」ということで理屈を組み立てられる能力と思います。それが実は非政治的なかたちでの官僚なのでしょう。そしてそれは、いまの霞が関官僚文化のなかでは極めて自民党寄りで政治的だということになると思います。(p.152-153)


ちなみに、安倍政権における中立性とは、マスメディアに対しては次のような意味になっている。すなわち、政権に対して批判的な意見と肯定的な意見を、たとえ肯定的な運動が極めて小さかったとしても批判的な意見と同等に扱い両論併記にとどめろ、というわけである。



強力な指導者がいる時の全国各地のコーカス・マシーンはほとんど無原則で、完全に党首(リーダー)のいいなりになる。こうして議会の上には、マシーンの力を借りて大衆の支持を得た独裁者――事実上人民投票的な――が君臨し、議員はこれに追従する政治的な受禄者に過ぎなくなる。(p.177)


ウェーバーの『職業としての政治』より孫引き。小選挙区になってからの自民党における総裁への権力集中などが想起される。



 ちなみに江戸末期から明治初期にかけて、日本から色々な人たちがイギリスに留学しました。でもオックスフォード大学とケンブリッジ大学の卒業生はほとんどいません。いてもごく一部です。
……(中略)……。
 じつはオックスフォード大学とケンブリッジ大学は、卒業要件が国教徒であることでした。国教徒でない人は卒業証書をもらえません。留学して研修をすることはできますが、卒業証書はもらえなかったのです。これが変わったのは19世紀の終わりです。(p.181-182)


この卒業要件には驚いた。



佐藤 階級制度というのはイギリス特有の現象です。これは話し言葉でもわかります。たとえばデザートのことをdessertと言うのは上流階級です。普通の人たちはデザートなんて言いません。中産階級はsweets(スウィーツ)と言います。労働者階級はafter(アフター)と言います。メインを食べた後に出てくるからafterです。このようにすべてのところにおいて、言葉も習慣も違うわけです。そういうところから出てきたのが、現代の保守党と労働党の二大政党制なのです。(p.184)


dessertとsweetsとafterなどと同じようなものを指す言葉も違うというのは興味深い。日本にはdessertから入ってきたのは、エリートが留学した際に学んできたのでイギリス側でも上流階級の人と接することが多かったからではないかと思われる。最近、sweetsという言葉が日本でも頻繁に使われ出したのは、グローバル化でビジネス的な交流が増えたことにより日本とイギリスの中産階級的な人々の間での交流が増えたことも反映しているのだろうか?そして、afterという言葉が日本ではあまり知られていないのはイギリスの労働者階級と日本の人びとはあまり接触がないからではないか。



佐藤 なぜ日本に二大政党制が馴染まないのかというと、まず、宗教によって国家が二分化されたことがないからです。それから階級によって二分化されたこともありませんかつての社会党と自民党の関係というのは、国際情勢による二分化であったわけです。米ソの東西冷戦という構造を反映していたわけです。(p.186)


二大政党制の社会的な基盤がないというのはその通りであろう。また、かつての社会党と自民党が冷戦を反映していたものという指摘は興味深い。


スポンサーサイト

この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
→http://zarathustra.blog55.fc2.com/tb.php/1065-e6e4b9b5
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)