アヴェスターにはこう書いている?
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寺内順子 『基礎から学ぶ国保』

 総務省「平成26年度市町村税課税状況等の調」によると、26年3月31日現在、国保の市町村数は1742市町村で国保税が1505市町村(全体の86.4%)、国保料が237市町村(13.6%)です。(p.10)


法的には原則は保険料であり、それ以外に税を選択できるという作りになっているはずだが、制度の規定と実際の選択されている数の相違は興味深い。



また、納付回数もいろいろで3回から12回まであり、8回が最も多く684市町村(全体の39.3%)、次いで10回が438市町村(25.1%)となっています。(p.12)


納期が3回や4回というのは、恐らく市町村民税の納期と似たような時期に設定しているのだろうが、市町村民税より国保料(税)の方がかなり高額だろうということを考えると、そういう分割回数できちんと納付されるのかという疑問を感じたりする。8回とか10回というのは、恐らく市町村民税が確定する6月にほぼ同時に賦課(課税)して以後毎月分割にすると10回になり、市町村民税の更生が概ね終わって異動が少なくなった8月に賦課(課税)して以後毎月分割すると8回になるということか。確かにこの辺りが合理的という感じがする。

しかし、国保は納期までこんなにバラバラに運営されているのか、と驚く。給付の面は基本的な部分は法律や政令で決まっている部分が多いが、保険料は保険者にかなりの裁量があることがこの制度的な背景だろう。



 全国の市町村国保では、「国保料」としているところと「国保税」としているところがあります。概ね大都市は料で、それ以外は税としている市町村が多いようです。
 国保税の場合は、税率を条例で規定する必要がありますが、国保料の場合は算定方式のみを条例に規定し、具体的な率や額は告示でよいとされています。(p.29)


大都市とそれ以外で選択が分かれている理由は何なのか?興味を惹かれる。税(料)率を条例に規定する必要があるか、告示でよいかという相違ではここは説明されないように思う。時効が5年か2年かという違いも指摘されているが、大都市の方が人の出入りが多いので時効が短い方が事務的には楽になる(収納率も上がる?)という側面はあるかも知れない。



 「旧ただし書き」方式(注)による所得とは、地方税法でいう総所得金額(給与所得控除、公的年金等控除、事業所の経費等を控除した額)と山林所得金額および土地の譲渡等にかかる所得から基礎控除額(33万円)を控除(引いた)した金額のことです。
 この所得の場合、総所得から基礎控除を引いただけなので、低所得者、多数家族、障害者、病人がいる世帯の所得割額が高くなります。(p.32)


「本文方式」であれば住民税の税額に比例して所得割が算出されるため、扶養控除や障害者控除、医療費控除などが適用された後の税額に比例した所得割額となるが、厚労省がこちらのほうに統一しようとしている「旧ただし書き」方式では、所得に比例して所得割額が決まるので本文方式や住民税と比べて逆進的になっているという指摘。



 都道府県単位化にしても、たとえば京都府であれば、京都市次第でなんでも決まってしまう、ということです。保険料賦課の基礎となるのは保険給付ですから、都道府県単位化されれば京都市の保険給付で決まり、小規模自治体の状況は、まったく反映しなくなります。(p.89)


都道府県単位化した際の保険料は、確かに給付が基礎になって決められるが、各市町村の保険料は都道府県から課されれる「納付金」の金額によって決まるはずであり、納付金の算定の方法は都道府県で決めることになっていたように思う。そうだとすれば、各市町村の給付額をベースにして納付金が算定されるような仕組みであれば、本書のような形にはならないのではないか。

もちろん、都道府県単位化は、給付抑制というか中央政府が財政責任を放棄する方向で医療費の負担を決めていくことをベースにして考えられているものだと考えるべきだろうから、これによって何かが良くなるとはほとんど考えにくいため批判しなければならないのは確かだが、本書のこの批判は少し的外れであるように思われる。



 無料低額診療事業は、経済的理由により適切な医療を受けることができない方に対して、社会福祉法にもとづいて、無料または低額で診療をおこなう事業です。
 この事業の認可を受けるには、「生活保護を受けている者及び無料又は診療費の10%以上の減免を受けた者の延べ数が、患者の総延数の10%以上」であることが条件で、事業認可されると、事業所は固定資産税の免除など税の優遇措置を受けることができます。全国の民医連や医療生協の事業所での実施が広がっており、「朝日新聞」では、2012年度は、全国558医療機関で実施、と報じられています。
 この無料低額診療制度は、あくまで医療機関の独自施策ですので、市区町村の一部負担金減免制度の不備を肩代わりするのは本末転倒です。さらに、この無料低額診療事業は薬代を減免することができません。(p.151-152)


確かに、国保の一部負担金減免制度は保険者の裁量に委ねられており、あまり積極的に行われていないのは恐らく確かだと思われる。そこで無料低額診療事業がその代替的な措置として選択される場合があるのだろうが、医療費が支払えないほど困窮しているが生活保護には至らない(あるいは受けたくない)という場合は、医療保険という「社会保険」の範囲でカバーするよりも社会福祉法に基づく「社会福祉」の制度によって支えられる方が妥当ではないか、とも言えるように思う。

国保を改善しようとする運動は結構だが、何でも国保に担わせればいいというものでもない。日本の社会保障は過度に保険に偏っているのだから、むしろ福祉制度の充実の方が望ましいのではないかと思う。上の例で言えば、国保の一部負担金減免を拡充するよりも無料低額診療制度を薬(薬局)にも適用できるようにするとか、そちらの方が適切な方向なのではないか。

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