アヴェスターにはこう書いている?
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「現代思想 2014vol.42-17 1月臨時増刊号 総特集 ピケティ『21世紀の資本』を読む――格差と貧困の新理論」(その2)
ポール・クルーグマン 「私たちはなぜ新たな金ぴか時代に居るのか」

 大方の不平等の研究者は、獲得された所得、通常は賃金があらゆる研究が行われるところであると、そして資本からの所得は重要でもないし興味深いものでもないと、一般に仮定している。だが、ピケティは今日においてさえ、所得分配の頂点では、稼ぎではなく、資本からの所得が優越していることを示す。彼はまた、過去において――ヨーロッパのベルエポックや、そこまで極端ではないが、アメリカの金ぴか時代のあいだ――不平等な賃金ではなく、資産の不平等な所有こそ所得の不均等の主要な原因であることを示す。彼はまたそうした社会に私たちが戻りつつあると主張する。(p.52-53)


不平等の研究者が資本・資産を軽視ないし無視する傾向があったことは、彼らが貧困層に着目して物事を分析する傾向が強いことから来るものであろう。ピケティも示すように、下位50%の人々はほとんど資産を保有していないのだから、貧困層に着目して分析するならば、資本・資産などというものは、そもそも視野に入ってこないことになる。

ピケティの議論の画期的なところの一つは、研究のしにくい富裕層の資産状況についてデータでアプローチする方法を見出し、それを実践してみせたことにある。



社会は情け容赦もなく、遺産相続された富による支配へと向かう。(p.54)


すぐ上で述べたこととも関係するが、不平等や格差の議論でもっと言及されるべき問題だと思う。

私自身も格差問題が話題となり始めて以降、格差という相対的な差に着目することよりも貧困化が進展していることが問題だと考えてきたが、この発想は重要ではあると今でも考えているが、この引用文で述べられている問題を見落としている点で片手落ちであった。「富による支配」が確立されていき、ごく一部の相続により富を得た富裕層が政治的な支配力を独占し、その他一般の人々による民主的な権力統制ができなくなっていく。このことがさらに資本の暴力性を助長する、というスパイラルに入りつつある。ピケティが問題視するのもこの点にあり、これは格差を研究する際に富裕層に着目することと連動している。



浜矩子 「国家の社会性を取り戻すために 『21世紀の資本』が壊すトリクルダウンの幻想」

 安倍政権は、「日本を取り戻す」というスローガンを掲げて登場した。どんな日本を誰から取り戻したいのか。……(中略)……。
 要するに、取り戻したいのは強い日本だ。そして、強い日本を取り戻すためには、強い経済を取り戻す必要がある。強い経済を取り戻すことで強い日本を取り戻すことが出来れば、誇りある日本を取り戻すことが出来る。このような筋道で取り戻し大作戦を貫徹しようとしているらしい。
 誰から日本を取り戻すのか。どうも、彼らは国民から日本という国家を取り戻したがっているのではないか。(p.65-66)


なかなか面白い。ひとつ前の引用文へのコメントで述べたように、「富による支配」が確立されていき、民主的な権力統制ができなくなっていくのだが、安倍政権がやろうとしていることはまさにこれである。そして、国民から「取り戻した」権力を好き勝手に行使できるように法律(果ては研究)まで変えていく。つい昨日頃に閣議決定された安全保障関連の法案のようなものが出てくるのも、そうした流れのなかに位置づけられるだろう。



中野佳裕 「公共哲学としての『21世紀の資本』 経済の民主化の構想のために」

経済は経済学の範疇で考えるものだという考えが、現在の英米圏の主流派経済学にはありますが、経済の根本には公共性や制度設計、あるいは社会正義をめぐる問題が存在するということを、ピケティは重視したのです。(p.107-108)


このあたりの事情はピケティの本(『21世紀の資本』)の面白いところだろう。


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