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アヴェスターにはこう書いている?
本を読んでいて気になったことなどを徒然なるままにメモしておくブログ。書評というより「読書メモ」。
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「ツァラトゥストラはこう言っている?」の姉妹編。日々読んでいる本から気になった箇所をピックアップして自由にコメントするブログ。

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稲垣佳世子、波多野誼余夫 『無気力の心理学 やりがいの条件』(その5)

 効力感を伸ばしうるためには、第一に、誰もが意味のある熟達の機会をもてる、ということが要求される。自分が自発的にかつ持続的に取り組める課題を見つけることができるばかりでなく、そこでの熟達が、創造の楽しみ、他者に貢献しうるという喜び、自己統合に伴う満足などをもたらすものであれば申し分ない。第二に、熟達に伴う内的満足に重きをおき、外的な成功・失敗にこだわらなくても、それなりの生活を維持できるようでなくてはならない
 われわれの住んでいるのは、基本的に、生産性第一の管理社会である。そこでは、生産性を高めることが、結局、みんなの幸福につながる、となんとなく仮定されてしまっている。そのために、人々の行うべき活動が、管理者によって定められ、評価される。有能な管理者とは、生産性が最大になるように、人々を選抜し、彼らに仕事を与え、その成績を評価していく人にほかならない。
 こうした社会が意味のある熟達の機会をひどくせばめてしまうことは、容易に理解できよう。本来、それぞれの人々にとって意味をもつ熟達の分野は、多様に異なっているはずなのに、生産性を高めるのに役立たない分野は、どんどん切り捨てられていく。最近の数年間だけをとってみても、伝統的な生産労働の多くが姿を消したり、変質させたりしていることに気づくだろう。(p.134-135)



効力感を感じられる社会であるための要件のひとつとして、「外的な成功・失敗にこだわらなくても、それなりの生活を維持できる」ことが挙げられていることに注目すべきである。

最低限度の生活水準は保障されていてこそ、効力感を感じやすいのである。昨今、よく見られる考え方は、これとは逆であろう。競争を煽って、競争に負けたら何らかの形でペナルティを課されるような、やり方で、つまり、「競争」と口では言いながらも、実際には、恐怖感を煽って間接的に強制させようという発想が多々見られる。特に政治家や財界や保守系の学者・言論人など。そうした発想こそ、社会から活力を奪うものだということを広く知ってもらう必要があると思う。

こうした観点からも、筆者たちの次の見解には私も賛成である。

 人々が効力感をもって人生を生きることの意義を強調する筆者たちの考え方からすれば、福祉社会を後戻りさせるのではなくて、むしろ人々の生存をおびやかす条件を少しでも少なくし、しかも同時に、人々にとってやりがいのある仕事を準備するところこそ、今後の労働政策の基本がおかれなければならない。(p.147)







 ランガーたちは、「重要でない」というレッテルを貼られたり、ないしはそれが暗示されるだけで人々は意欲を失う、と考える(p.148)



こうした側面は確かにかなりあると思う。このことは、社会的な差別がある場合など、差別される側の自己評価が低くなる傾向などとも一致しているのではないかと思う。
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