アヴェスターにはこう書いている?
本を読んでいて気になったことなどを徒然なるままにメモしておくブログ。書評というより「読書メモ」。
プロフィール

ツァラトゥストラ

Author:ツァラトゥストラ
「ツァラトゥストラはこう言っている?」の姉妹編。日々読んでいる本から気になった箇所をピックアップして自由にコメントするブログ。

FC2ブログランキング

FC2ブログランキング

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

FC2カウンター

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

太田光、中沢新一『憲法九条を世界遺産に』

 法律も宗教も、人間からディスコミュニケーションをなくして、みんな同じことを考えれば世界は完璧なものになると考えていますね。みんな同じ宗教を信じ、同じ神様に心を向けていれば、最高の共同体ができると思っている。それを信じている人びとの間では、矛盾が発生しにくいですね。
 ところが、僕らの世界は、ディスコミュニケーションでできている。(p.32-33)



確かに、「みんな同じことを考えるのがよい」という類の発想は陥りがちな誤りと言うべきだろう。近年の言論に対する抑圧的傾向(ネットでのものにせよ、実社会での政治的意見であるにせよ、法律レベルでは共謀罪が審議されてきたことなどにも表れている)の流れに乗ってしまっている人々もまた、これと同類の誤りを犯しているように思われる。

アメリカを全否定したり、全肯定したりしているうちはだめだと思います。(p.62)



これは近年の世界の言論にとって有意義な指摘だと思う。私見では、実体のない「国家」を対象にして語ると、この誤りに陥る確率が増大する。

政治的組織としての政府は存在するが、その広義の政府が制定した実定法により国籍を持つとされた法的な諸個人が一つの単位をなす共同体であるという考えは幻想にすぎない。同一の法規範に準拠して行為する人びとであるとはかなりの程度まで言えるにせよ、それは共同体ではない。(規範や規則の意味は異なる例にはなってしまうが、雨が降ったら多くの人々が同時に傘をさすだろうが、だからと言ってそれらの人びとが共同体をなしているなどとはいえまい。)

全肯定する人も全否定する人も分析や批判がなく、単なる個人の信じているものが前面に出ているだけである。そこから社会で起こる諸問題への解決策を引き出すことは出来ない。


本書に対しては、批判すべき点も多いが、それなりに自分たちの進むべき方向性について「考えるのに役立つヒント」やその方向が持つ「イメージを喚起する言葉」を含んでいるという意味で、読む価値はある本である。
スポンサーサイト

テーマ:読書メモ - ジャンル:本・雑誌